2016年3月31日木曜日

利源分析をベトナムの生保会社に導入



今年度も今日が最後になった。年度の締めくくりとして振り返ると、今年は東京国際アクチュアリーアカデミーの開講など色々なことを手がけていつもの年度より忙しかった。日本人の若いインターンの学生さんなどと懇親し教育しながらこちらも、教えられることもある。日本のアクチュアリー会も随分と国際化が進んだ。ただ、最終ミッションである、日本人のアクチュアリーが海外で駐在員としてではなく、資格と自分の腕一つで海外で日本のアクチュアリーの知見と基準を浸透させるレベルに達した人は少ない。私は、そのような若者を大勢育てて行きたい。そして特に経済発展の見込めるアジアの国々において活躍してほしい。おりしも簡保と第一生命が提携を高らかにアナウンスし、ベトナムの郵便局を通じた窓販などにおいて提携するそうだ。
私は、ベトナムのある生保に計理人として関与し、ベトナム人アクチュアリーの指導をしている。自国のアクチュアリー会がないこの国においては、社会主義圏でもあり、入ってくる情報が非常に限定される。私が、米国のアクチュアリー会の教科書などを渡すととてもありがたがられる。一方で、日本の技術も真摯に学んでもらえる。もう40年も業界で働いた私にとって、もはや日本では注目もされないような事柄であっても、彼らにとっては目新しく感じられる。その一例が利源分析の導入である。日本では、当局に提出する重要な決算資料の一つである。何でもかんでもエンベディッドバリュー的に数十年の現在価値評価で判断する欧米の方式と比べて、この元々はドイツ流の利源分析は、その年度を単独で見たときの実績の分析には、経営者にとって貴重な情報を提供してくれる。日本の主計部のアクチュアリーにとって、決算で最も重要な資料で、多面的な分析がなされる。これを昨年度からベトナム生保に導入し、今年は2年目で2014年と2015年の実績比較を商品別、ファンドスプリット別、利源別に詳細に分析し90ページの資料としてまとめて役員会に提出した。この国の制度的特徴、金融マーケットの未熟さ、危険選択におけるfraud riskの実態分析など、色々と日本とは異なった問題点が浮き上がって来て興味深い。歳を取った日本人アウチュアリーから真剣に技術を学びたいというベトナム人の若手を育てることも自分の人生の生きがいになる。休日には、南方のフーコック島などに行ってビジネスで疲れた体をのんびりとさせて癒す。海外でも人様の役に立つ感謝されることをやり、生涯現役のアクチュアリーでありたい。