2018年11月22日木曜日

リスクマネジメントにおけるデータ分析と人工知能


 

株式会社ヨシダ・アンド・カンパニー では、以下のセミナーを実施いたしました。非常に最新の情報が盛りだくさんです。資料に関心のある方は、以下の「お申込み」のリンクから、パワーポイントプレゼンとビデオ録画を購入ください。 

また、このテーマでのコンサルティングを受けたい企業様は、080-4339-4650までご連絡ください。
 
 
【日時】11月12日(月)18:00 【会場】アルカディア市ヶ谷
               詳細はこちらをご覧ください。
講師】MAHIDHARA DAVANGERE V.
図1

【講師略歴】
MahidharaはPramartha社(インド・バンガロールに拠点を置くアクチュアリアル・リスク・マネジメントおよびコンサルティングファーム。マレーシア、南アフリカ、UAE、米国にもオフィスを構える)の創業者で、取締役を務めています。データサイエンス、ファイナンス分析、投資といった幅広いアクチュアリアルサイエンスに焦点を当てています。様々なアクチュアリアルリスクモデルを用いて、ベンチャーキャピタルやエンジェル投資家に向けて出口戦略提案を行ってきました。また、IAA時代からビッグデータワーキンググループの一員です。Finance and Investment Board, Institute and Faculty of Actuaries (IFoA), Secretary of Actuarial Consulting Congress of Asia (ACCA) といった幅広い分野でグローバル戦略委員会の議長を務めました。
当セミナーでは資料の販売も行っておりますので是非お買い求めください。
【資料価格】
パワーポイント資料 5,000円(
税込)
ビデオ資料 15,000円(税込)

【お申込み】
こちらよりお申し込みください。


【セミナー概要】
データ分析と人工知能はあらゆるビジネスに影響を与えつつあります。アクチュアリーは保険・年金産業の価値を高めてきた「データサイエンティスト」として古くから知られています。本セミナーではデータサイエンスや人工知能を用いて、特にリスクマネジメントに関する実生活におけるいくつかの事例に焦点を当てます。新時代の技術そのものはただの道具ですが、アクチュアリアルな概念と合わせることで、ビジネスにおいて計り知れない価値を持ち得ます。アクチュアリアルな知識を人工知能やディープラーニング、その他の新時代の技術などを通して幅広い分野のものと統合する仕組みは探求に値します。新技術の登場によって、アクチュアリーの未来はどのようになるのか、また、天体物理学、生物科学、気候変動、そして銀行や保険などの金融サービスなどあらゆる分野に応用されうるディープラーニングなどの学習の未来はどのようなものになるのか、といったことについて説明していきます。アクチュアリーに対して「ビジネスサイエンティスト」という新語を与えた専門家をお迎えしての、新たな国際事業機会を探求するチャンスです。この機会をお見逃しなく。

2018年11月15日木曜日

モデル化までの過程(2)



 

2018年11月15日

本記事は、American Academy of Actuariesの雑誌Contingenciesに記載されている記事「Model Behavior—How a modern modeler can add value and drive effective business decisions」の翻訳である。この記事は4回に分けての配信予定であり、その第2回である今回は、「Embrace the Black Box」の1節について配信する。

ブラックボックスを受け入れる

  難解なモデル化の問題に直面した時、ブラックボックスは便利な言い訳として使われるが、それはよくないことである。過去数十年に渡り、主に計算をコントロールする能力の為に、保険会社の間でいわゆる保険数理用のブラックボックス化しているソフトウェアが使用される場合が多くなっている。この種のコントロールは内部企業モデル化基準、全米保険監督官協会(National Association of Insurance Commissioners)のモデル規制、SOX法(Sarbanes-Oxley)下で発展した監査要件に準拠するためにとりわけ役に立つ。ブラックボックス化しているソフトウェアが柔軟性と透明性を増している一方で、ほとんどの計算は未だ、エンドユーザーにとって未知なままである。多くのモデラーが、この未知さのせいで革新的になれないと言うが、実際にはブラックボックス化しているソフトウェアは大変強力なのである。問題を解く鍵は、組み込まれた機能を活用する際に創造的になることなのである。

ソフトウェアはユーザーの要求に応じてよりカスタマイズできるようになっているのだから、ユーザーは利用できる全ての機能を理解する必要がある。

 何よりもまず、ソフトウェアに対する入力と何の計算をしているかを理解することが重要であり、ソフトウェア開発者が作成した説明書にこの情報がよく書かれている。ブラックボックス化された計算が何を行っているのか理解することが難しいときはブラックボックス化していないソフトウェア(例えば、エクセルなど)で計算の再現を行うことから始めるといいだろう。計算が複雑すぎて容易に再現できないときは、統制されたテストをすることで手がかりを得ることができる。つまり、入力値を一つだけ独立に変えていき、出力値の変化を見る方法である。どのように予想していた値とソフトウェアによる出力値とが異なったかが、なぜ計算が予想と異なる振る舞いを見せるのかという事に対してヒントを与えてくれる。例えば、「重要な入力値を変更したにもかかわらず、出力値に何の変化もない」という結果を得たとき、実は入力値は使われていないということかもしれない」ということが真っ先に思いつく。つまり、スイッチやモデルの入力値の配置が間違っているなどの単純なミスがある可能性を意味している。疑問に思うときは開発者に連絡を取ることがソフトウェアの機能に関する単純な質問に対する答えを得る迅速な方法になりうる。

 より良いモデル化のためには、まずソフトウェア全体をよく理解することだ。ソフトウェア開発者は絶え間なくモデル化ソフトウェアを改良しているため、ユーザーは時間がある時にトレーニング・セッションに参加し、常に新機能リリースの情報を入手し、ソフトウェアを最新のバージョンに保つ必要がある。ソフトウェアはユーザーの要求に応じてよりカスタマイズできるようになっているので、ユーザーは利用できる全ての機能を理解することも重要である。ひとたびモデラーがソフトウェア全体を十分に把握すれば、革新的なモデル化の「ソリューション」を得る秘訣はクリエイティブとなることである。ユーザーの創造性以外、モデルの創造性の制限はほとんどない。

しかしながら、「ソリューション」が創造的であっても、その「ソリューション」の有効性を十分吟味し、適用可能なすべてのモデル化基準−特に、保険数理基準審査会(Actuarial Standards Board (ASB))によって発布された保険数理実務基準(actuarial standards of practice (ASOPs))−に準拠していることを確認することも重要である。ASBは現在、全実務範囲に対応するモデル化におけるASOPの第四版公開草案を立案している。ASOPに拘束力があるわけではないが、アクチュアリーは公開された草案を再吟味したいと思っており、この新たなASOPの開発と並行してモデルを開発する必要がでてくる。

ブラックボックス化しているソフトウェアの一般的な創造的な最適解の中には、プロセスの自動化やプログラムによって既に定義されている機能の適応外使用(off-label use)などがある。プロセスの自動化にはソフトウェア内および・またはソフトウェア外のいくつかの小さいプロセスを統合することが含まれる。例えば、モデルからの情報はエクセルにエクスポートすることができる。

ここから、オープンソースのプログラミング言語が出力値を得るための操作に使われ、そしてその出力値は利用可能な形でモデル化ソフトにフィードバックされる。ここから認識されるトレードオフは柔軟性と制御性である。次に、既に定義された機能の適応外使用(off-label use)に関しては、レベレッジされる機能を完全に理解することが重要である。大変特殊な目的のためにブラックボックス化しているソフトウェアに機能が追加されることがあるが、必ずしもその機能が他の目的の役に立たないというわけではない。もしある機能が、何の基本的な問題に焦点を当てているかを理解できたなら、その「ソリューション」は同じ原因や構造を根源にもつ他の問題に適応することができる。


次回は、「Model Behavior—How a modern modeler can add value and drive effective business decisions」の第3回を配信予定である。


注. 本記事の日本語著作権は株式会社ヨシダ・アンド・カンパニーに帰属しており直接のメール会員、当社の教育講座受講生以外の外部へのコピーまたは電子媒体での流出を禁じます。当法人は翻訳の正確性について一切の責任を負いません。
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2018年10月18日木曜日

モデル化までの過程(1)

 
 
2018年10月14日
 

本記事は、American Academy of Actuariesの雑誌Contingenciesに記載されている記事「Model Behavior—How a modern modeler can add value and drive effective business decisions」の翻訳である。この記事は4回に分けての配信予定であり、その第1回である今回は、「Exhaust Available Resources」の1節について配信する。
モデル化までの過程−現代のモデラーが価値を創造し、ビジネスにおける有効な意思決定を推進する方法

Olyvia Leahy著


保険数理のモデルは非常に科学的であるという性質を持つ一方、モデルを修正・改良したりする過程では多少の「芸術性」が必要である。その過程で、優れたアクチュアリアルモデラー(モデラー:数理モデルを対象に合わせて改良していく業務を担当する人)が心血注いで価値を付加し、モデルが「業務プロセスにおける形式的なもの」から「非常に価値のある意思決定のための道具」となる。

 いくつかの新しい基準と規則が最近導入されたため、企業は、国際財務報告基準第17号(IFRS17)や、原則主義ベースの責任準備金評価(Principle-Based Reserving, PBR)、生命保険資本十分性テスト(Life Insurance Capital Adequacy Test, LICAT)、そして、米国の税制度改革についての理解のためだけではなく、これらの変化を従来の複雑なモデルにどのように当てはめるかについて正確に対処するために、現在懸命な努力を行っている。

 これらの最新の規則はさておき、絶えず変化する規則の中で企業は、最も機敏な企業が優位に立てる競争状況でうまく立ち回らなければならない。したがって、現在のモデルをより正確にすることには利点がある。また、もう一つ利点があり、それは、企業がこれまでモデル化してこなかったことをモデル化することである。最終的にはより信頼性の高いモデルを使うことによって、ビジネスにおける意思決定を促進し、より確実に企業が将来の計画を立てるための適切な方法をとることができる。
 この記事では、現在のモデル化の過程を効率的なものにするために、「資源を有効活用すること」、「敬遠されがちなブラックボックス化している保険数理ソフトを取り入れること」、「強固なモデルを設計すること」、「モデルの限界を認識すること」、そして、―これが最も重要なことであるが−「粘り強く頑張ること」、の5つについて細かく見ていく。

利用可能な資源を有効活用せよ

 アクチュアリアルモデラーのチームは多種多様な経験をしていて、異なるバックグラウンドを持つ人間からなる。しかし、何十年も学んで、それが身についているモデラーでさえ、一人で業務を遂行することは浅はかなことである。モデル製作のプロジェクトに取り組む際に活用すべき資源というのがいくつかある。それは。人・文書・技術の3つである。
まずモデル化の「ソリューション」が「ソリューション」であると見なされるためには、モデル化における問題点を解決しなければならない(問題点は4つ以上作らないことが望ましい)。これは、他の何よりもまず、問題が明確に定義される必要があることを意味している。モデル化の「ソリューション」が本当に「ソリューション」であると確実に言えるようにするために、その問題について自分と異なる視点を持っている可能性のある他者に聞いてみるのはいいアイデアである。他の専門家がモデラーの盲点だったことに気づくことができることがある。後でデバッグをしたり、最適でない解を作ったりするために浪費したであろう多くの時間を、これにより節約できる。

 さらに、他のモデラーに聞いてみることは過去の「ソリューション」を活用するための素晴らしい方法である。モデル化で現れる問題点は、ほとんどの場合新しくないパターンの問題点が生じる。それゆえ、過去の「ソリューション」を活用することによりモデラーは、考えているモデルの問題点と過去のモデルの問題点との共通点を見出すことが出来る。これは他者の知識やノウハウを活用することでとても容易に達成される。

 特に大企業では、おそらくアクチュアリーやモデラーは頻繁に役割や部署を異動するので、他の人が過去のプロジェクトで直に感じた経験を得ることが困難になっている。このため、過去のモデル化の問題点とその「ソリューション」の、徹底的な文章化が極めて重要である。正確な文章調査により、モデラーはもう会うことが難しい人の知識を利用することが可能になる。

 一度問題が明確に定義されたならば、利用可能なすべての技術を考慮した上で「ソリューション」を開発するべきである。これを行う良い方法は、何が理想的な「ソリューション」と考えられるかを特定することから始めることである。そして、これは(モデルではなく)「現実世界」で何が起きているかを考えることである。「現実世界」で起きていることを、モデルは正確に表現することが出来ないという食い違いがあるので、そのことを理解することによって、モデラーはモデルの改良をどういう基準で、どこから始めたらよいかということを知ることが出来る。ここから、モデラーは会社の基準に合致したまま、理想的な「ソリューション」からほとんど妥協しなくてよいテクノロジーと道具を考えることができる。

次回は、「Model Behavior—How a modern modeler can add value and drive effective business decisions」の第2回を配信予定である。

注. 本記事の日本語著作権は株式会社ヨシダ・アンド・カンパニーに帰属しており直接のメール会員、当社の教育講座受講生以外の外部へのコピーまたは電子媒体での流出を禁じます。当法人は翻訳の正確性について一切の責任を負いません。
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2018年9月27日木曜日

「市場分割」を超えた未来


 
 
2018年9月25日

 
本記事は、アメリカアクチュアリー会(SOA)の雑誌The Actuaryに記載されている記事「Bull’s-eye!: Using targeted products and market segmentation in life insurance to benefit both insurer and customer」の翻訳である。この記事は3回に分けての配信予定であり、その第3回である今回は、「THE FUTURE BEYOND SEGMENTATION」の1節について配信する。

  • 「市場分割」を超えた未来
究極レベルの「市場分割」は、個々人にカスタマイズされた商品や提案といった「個人の分割」に帰着します。「世界に一つだけの自分のコンバースを作る」といった商品は、現在「多くのカスタマイズできる」という商品特徴が組み込まれていますが、今日の販売においては「個人の分割」がより一般的に見受けられます。ビッグデータの時代になると、市場分割を超えて拡大するデータ分析の動きをすでに多くの企業が見せ始めています。それらの企業はもはや単なる人々の集団を基盤とする市場を対象にしておらず、むしろ個人としての人々を対象にしています。例えば、Amazonは個々の顧客の購入履歴を使用して、将来購入すると考えられる商品をおすすめします。データ分析と言われて思い出す他の例を見ると、Netflixも、個人のレベルで同様の分析を行っており、過去の視聴履歴やその動画の評価に基づいてユーザーが楽しめる映画やショーをおすすめしています。

Target(アメリカの大手小売業者)が10代の女の子に赤ちゃんと出産に関する商品のクーポンを送ったことに対して社会的な反発が見られるという、悪い評判として出回ってしまった例があります。女の子の父親は激怒しましたが、のちに高校生の娘が本当に妊娠していたことを知り、謝罪しました。Targetは他の顧客の購買行動を分析し、妊娠していそうな顧客を特定できるであろう購買行動のパターンを個人のレベルで決定することができました。Targetの分析によると、問題となった10代の女の子の購買行動は妊娠が予想される顧客の購買行動と一致していたため、女の子には妊娠した顧客を対象としたクーポンが送られました。

「市場分割」することを超えて個々人のマーケティングをしたり、消費者におすすめ情報を送ったりすることは、データの大きさにとても強く依存します。Amazon、Netflix、Targetなどの企業は多くの顧客購買情報があり、豊富なデータがすでに収集されています。一方、生命保険業界が豊富な内部データを得るには年月がかかりますが、同じように分析をするために外部の情報源を利用してデータを補うことができます。

市場分割という手法を使うことで、生命保険業界は利用可能な内部データと外部の情報源を活用して、顧客のニーズにより的確に対応することができます。より多くの内部データと外部データが利用できるようになり、そういったデータを使用して保険業界がさらに洗練され続けるにつれて、保険業界は他業界の足跡を辿って、「個人の分割」を提供するようになるでしよう。

次回は、「Model Behavior—How a modern modeler can add value and drive effective business decisions」を配信予定である。

注. 本記事の日本語著作権は株式会社ヨシダ・アンド・カンパニーに帰属しており直接のメール会員、当社の教育講座受講生以外の外部へのコピーまたは電子媒体での流出を禁じます。当法人は翻訳の正確性について一切の責任を負いません。

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2018年9月12日水曜日

保険会社と顧客の両方に利益をもたらす、生命保険の対象商品と市場分割の使用について 第2回




2018年9月10日
 
 
 
 本記事は、アメリカアクチュアリー会(SOA)の雑誌The Actuaryに記載されている記事「Bull’s-eye!: Using targeted products and market segmentation in life insurance to benefit both insurer and customer」の翻訳である。この記事は3回に分けての配信予定であり、その第2回である今回は、「BRINGING SEGMENTATION TO THE LIFE INSURANCE INDUSTRY」の1節について配信する。

生命保険業界への「市場分割」の導入

生命保険業界では保険契約や保険契約者に関する多くのデータが蓄積されているため、アクチュアリーも顧客をよりよく理解し、対象を絞ることができます。保険会社が収集した既存の経験則的データは、保険契約者の行動に関した仮説を立てるためにたびたび使用されます。そして、生命保険業界のデータが膨大なるにつれ、予測モデリング手法(predictive modeling)を用いることによって保険契約者の行動に関するより正確な仮説を立てるために、そのデータはますます使用されていきます。

保険契約に関する特徴を備えた予測モデルは、保険契約者の行動をよりよく区別するための仮説を立てる時の第一歩ですが、保険契約の特徴だけでは保険契約者の行動までは見えません。ここでビッグデータの出番です。第三者のデータを売買する業者から入手可能な保険契約者に関する追加データを取得することによって保険契約者の行動を予測することを超えて、保険契約者の購買動機を理解し始めることができます。このように顧客をよりよく理解することで、保険会社は、特定の顧客のニーズにより対象を絞った適切な保険商品を開発できるようになります。例えば、直ちに資金が必要な顧客は、将来的により多くの資金が得られる可能性がある特徴の商品よりも、今すぐ資金を調達できる可能性がある特徴の商品により価値を置く傾向があります。

他の予測分析と同様に、この分析も第一歩はデータを集めることです。保険会社の場合は、死亡保険金額や、死亡率経験値、保険契約者の人口統計、そして販売経路などの内部データを収集することから始めます。次は内部データを増やすためにできるだけ多くの追加データを得ることです。理想的には、職業や、消費状況、ローン状況、そして信用度などの保険契約者の全体的な財務状況を把握するための情報です。これらの主な「市場分割」の仕方は以下の通りです。

・地理(人口密度、気候)
・人口統計(年齢、家族構成、ライフステージ、性別、収入、教育)
・心理的属性(生活様式、人格)
・行動(購買、売買、顧客だった期間)

これらのデータはクラスター分析アルゴリズムを使用して保険契約者を「市場分割」するため使われます。

これによって分けられた保険契約者の「市場分割」(グループ)は、状況や購買動機が共有されているため同じような振る舞いをする可能性が高い保険契約者として同一視します。商品開発の対象として有益と考えられる「市場分割」は、以下のものです。

・測定可能性(Measurable). 規模や、購買力およびその特性を測ることができる
・有力性(Substantial). 規模が十分大きく、利益になりうる
・アクセス可能性(Accessible). 効率的に保険契約者に届き、提供できる
・弁別可能性(Differentiable). 根本的に区別され、異なる行動をする
・行動可能性(Actionable). 効率的に保険契約者を引き付け、提供できる

例えば、財政面の信用度が低く、またあるいは住宅ローンのLTV割合(Loan to Value ratio, 不動産投資信託の総資産に占める負債の割合)の高い「市場分割」は、資金を必要としており、それが契約に関しての決定にも影響を及ぼす可能性があります。予測モデルを各保険契約者の「市場分割」に使用することで、保険契約者が関心のある行動を予測することができます。各「市場分割」に使われるモデル間に違いがあることが予想されるため、その違いによって、各「市場分割」がどのように行動を決定しているか分かるようになります。

各「市場分割」がどのように行動を決定しているかについて理解を深めることで、これらの保険契約者とそのニーズについてより多くのことを理解し、そして将来彼らがどう行動するかについてより良い仮説を立てることができます。さらにこれを踏まえて、これらの予測モデルの仮説は各「市場分割」の収益性を決定するためのキャッシュ・フロー予測に使用することができます。計算された収益性は、最終損益を高めるために商品が販売される「市場分割」を決定することに使われます。

保険契約者の行動への深い理解は、収益性を高めるだけでなく、「市場分割」のニーズに対しより適切に対象を絞った新商品を開発することにも使えます。例えば、分析によって、ニーズに合ってない商品を購入していると考えられる保険契約者の「市場分割」を特定できた場合、この情報から彼らに対象を絞って、彼らが考えるニーズにより合った新しい商品または異なる商品を作ることができます。

多くの生命保険会社は昔から、お互いに全く違った行動を起こす可能性がある保険契約者を区別することができないという重大な問題に直面していました。これにより新商品の販売と開発において全体的に非効率性と課題が生じていました。これらの非効率性を緩和するために、市場分割は既に多くの他業界で使用されています。「市場分割」することにより、企業の収益性を向上させるだけでなく、同時に、独自のニーズに基づいた顧客により高い価値のある商品を提供することが出来るようになります。

「市場分割」することは生命保険の商品開発と販売の次の一歩とみていますが、これが最高の状態となることは無いでしょう。データと技術が進化し続けるにつれて、私達は今いる場所を超えて、将来進むであろう場所へ前進し続けなければなりません。

次回は、同記事「Bull’s-eye!: Using targeted products and market segmentation in life insurance to benefit both insurer and customer」の第3回を配信予定である。

注. 本記事の日本語著作権は株式会社ヨシダ・アンド・カンパニーに帰属しており直接のメール会員、当社の教育講座受講生以外の外部へのコピーまたは電子媒体での流出を禁じます。当法人は翻訳の正確性について一切の責任を負いません。
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2018年9月1日土曜日

保険会社と顧客の両方に利益をもたらす、生命保険の対象商品と市場分割の使用について 第一回

 
 
2018年9月1日
 
 
本記事は、アメリカアクチュアリー会(SOA)の雑誌The Actuaryに記載されている記事「Bull’s-eye!: Using targeted products and market segmentation in life insurance to benefit both insurer and customer」の翻訳である。この記事は3回に分けての配信予定であり、その第1回である今回は、「Segmentation at Work」の1節について配信する。

保険会社と顧客の両方に利益をもたらす、生命保険の対象商品(Targeted Products)と市場分割(Market Segmentation)の使用について

市場分割(Market Segmentation)は決して新しいトピックではなく、特に革新的なトピックでもありません。むしろ、「市場分割」(Segmentation)は1960年代初めからマーケティング研究の重要なマーケティング概念であり、焦点と考えられていました。市場は不均一で雑多であるため、全ての顧客に大きな魅力をもたらす唯一の商品を開発することはほとんど不可能です。たとえそのような商品が作られたとしても、あるいは商品が広く市場に出回っていても、異なる顧客はその商品に異なる動機または用途を持つ可能性が高いです。
他業界での「市場分割」
生命保険業界の「市場分割」について掘り下げる前に、多くの業界で普及してきた「市場分割」の使い方からヒントを得ることができます。1920年代にゼネラルモーターズは市場分割戦略の有名な例である「あらゆる購買層と目的に合った車(a car for every purse and purpose)」を生産することにより、フォードを自動車販売で追い越しました。より最近では、クレジットカード業界が顧客の過去の信用のある行動傾向に基づいて顧客を「市場分割」し、対象となる勧誘メッセージや商品を送ったり、配当やキャッシュバックをしたりしています。

保険業界に近い業界でも、すでに機能している「市場分割」の例があります。例えば自動車保険会社はニッチ市場(特定のニーズを持つ規模の小さい市場)に対応するために進化しました。例を挙げるとUSAA(United Services Automobile Association)は軍とその家族に保険を提供し、Progressive(保険会社名)は事故率が高いドライバーに保険を提供します。これらの特定の市場にサービスを提供することで、企業は選ばれた「市場分割」に向けて販売するので、販売効率と顧客満足度を向上させることができ、そういった顧客のニーズに合った商品を提供することができます。

また生命保険業界でも既に「市場分割」するようなことは見受けられています。以前は、クラスター分析が保険数理的なモデリングの最前線に持ち込まれており、特に保有契約のデータ圧縮に使用されています。このクラスター分析の考え方は、根本的には市場分割と同じものです。クラスター分析の手順は、グループを作り(この場合は保有契約のグループ)、契約に関する特徴を利用して似通った契約のグループが作り出されます。含まれている契約を特徴付ける単一のレコードが、各々の「市場分割」(グループ)を代表します。これにより精度を損なうことなく、より少ない数のレコードでプロジェクション(収支予測)を得られることができます。このクラスター分析の目的は時間のかかるプロジェクションでの実行時間を短縮することですが、ビジネスの顧客側にも同様のアルゴリズムを取ることができます。

次回は、同記事「Bull’s-eye!: Using targeted products and market segmentation in life insurance to benefit both insurer and customer」の第2回を配信予定である。

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2018年8月21日火曜日

インデックス型変額年金 第3回




2018年8月21日
 
 
本記事は、アメリカアクチュアリー会のニュースレター3月号に記載されている記事「Indexed Variable Annuities: The Next Product Frontier for the U.S. Annuity Market」の翻訳である。この記事は3回に分けての配信予定であり、その最終回である今回は、「US STATUTORY ACCOUNTING」、「US GAAP ACCOUNTING」、「IMPLICATIONS」の3節について配信する。

インデックス型変額年金(IVA): 米国年金市場の次なる商品フロンティア
Simpa Baiye, Robert Humphreys, David Knipe

米国法定会計
 法定会計原則(SAP)の下でのIVAの責任準備金の算出は、適切な算出方法の枠組みの中で商品を分類することに関係してくる。IVAの商品設計とその付随的な特徴は、ニューヨークに拠点を置いていない保険会社のためのアクチュアリアルガイドライン43(AG43)に従った責任準備金等の算出方法の影響を受ける可能性がある。しかしながら、AG43はIVAに関する責任準備金等の明確な算出方法を指示してくれるわけではない。したがって理想的には、責任準備金要件を満たす明確な方法は、年金の最低評価基準と、実利的な資産負債総合管理(ALM)との対立的な影響を両方考慮したものになるだろう。ニューヨークに拠点を置いている保険会社によって発行されたIVAは、規制151と128に沿うように算出された責任準備金を積み立てるだろう。
米国会計基準(USGAAP)
 USGAAPの下でのIVAの責任準備金の算出は、クレジット設計(crediting design)における組み込みデリバティブの性質を考慮する必要がある。結果として、組み込みデリバティブのガイダンスであるASC815-15が適用され、またこれは親契約と商品の組み込みデリバティブの部分の識別を含む。親契約は債券で構成され、主に償却費用で評価される。一方、組み込みデリバティブは収入を通じて公正価値で評価される。別の方法は、金融商品に関するASC825に基づいた公正価値オプションを選ぶことで公正価値原則を用いる、契約全体(親契約と組み込みデリバティブ両方)の評価を含んでいる。
含意
 インデックス型変額年金(IVA)の業界売上高は、より多くの保険会社が競合商品を販売するにつれ今後も成長し続けるだろう。IVAの設計とリスク管理の手法は、消費者の要求と保険会社のリスク選好度とのバランスを取る必要がある。
 債券投資とデリバティブの取引から生じる利鞘は、保険会社の大きな利益収入源になる。したがって、保険会社にとっての最適な投資とデリバティブの利用戦略は、商品設計とリスク選好度を反映したものとなる必要があり、また詳細な分析も求められる。

次回は、「Bull’s-eye!: Using targeted products and market segmentation in life insurance to benefit both insurer and customer」を配信予定である。

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