2011年3月16日水曜日

福島原発事故、最悪の事態 首都圏脱出


東京の外資系企業は、今回の原発事故で本社機能を海外や関西のサテライトオフィスに移しているようである。企業の危機管理として従業員の生命の安全を第一とするのは、さすがに徹底した企業理念とガバナンスに基づいている。コストやビジネス以前の問題である。先ほどのテレビで、成田で国外に脱出しようとしている外人や日本人の数がものすごい人数になっていることが報道されていた。リスク管理の何たるかは、難しい数学のリスク量の計算以前に人命の安全の確保である。私の所属する会社においても、本日幹部から連絡があり、希望する職員は、当面、関西に仮設する事務所に勤務するオプションを与えられた。家族を含めて、ホテルやアパートで当面生活することを検討している。グローバル企業の危機管理というのは、このようなものなのだろう。娘の勤務する外資系企業でも同様な状況のようである。
それにしても、状況をあいまいに説明し、正確な情報を国民に開示しない政府や東電の記者会見は、何度聞いても肝心なポイントを示していない。国民が知りたいのは、最悪シナリオでは、どのような事態になるのかである。気休めの安心を与えるのは、パニックを避ける効果はあっても、問題と正面から向き合わずに最悪シナリオが発生した際には手遅れになり、膨大な数の国民の健康が守られないリスクがある。
ネットでこの関連の書き込みを見ると本当に恐ろしくなってくる。以下は、その一つの引用である。

◇想定すべき人災--ノンフィクション作家・広瀬隆さん(68)
 これは人災だと考えています。その責任の所在は東京電力だけでなく、菅直人政権、経済産業省の原子力安全・保安院、原発を推進してきた大学や大学院教授らにもあると言えますよ。

 津波発生は日本の宿命で、1896(明治29)年の「明治三陸沖地震」では高さ38メートル以上の津波が起こっている。だから「想定外」という表現は当たらない。想定すべきだったんです。

 原子炉設備とその周辺には膨大な配管、配線があって、津波と地震の揺れで相当な影響を受けたと見るべきです。電源系統がだめになっているから、非常用のディーゼル発電機が動かなかった。

 配線にダメージを受けている中で、コントロールルームが機能しているのか。膨大なデータを処理する能力が維持されているのか。計器を信用してよいのか。それも分かりません。

 そもそも、東電は原発の単なる「運転者」なんですよ。詳細な構造は原発メーカーの技術者でないと分からない。保安院の職員も分からない。これを解説している学者も「現場」を知らない。

 メディアはなぜ、東電や政府の発表を垂れ流すのでしょうか。放射能が漏れていても「直ちに人体に影響を与えない」と繰り返しています。しかし、発表されているのは1時間当たりの数値。365日×24時間で計算してみなさい。想像力もなく、レントゲン並みとか自然界の何分の1と報道している印象です。漏れるという「異常」に対する驚きも怒りも薄れている。

 福島から排出された放射線は宮城県の女川原発付近でも検出されましたし、風向きによって関東地方にも達しています。

 仮に最悪の事態に至ったならば、放射能汚染は1週間ぐらいかけてじわじわ列島を包んでいく。逃げる場所は全くありません。

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